彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
彼は、正直に全てを話してくれた。

「私は、我慢させてしまっていたんですね」

「違う!それは違う」

「だってそうでしょう? やっぱり、私はダメですね。気持ちよくしてもらうばかりで全然満足させられない。私、どうしたらいいですか? どうやったら貴方を満足させられますか?」

「もういい、やめろ、やめてくれ」

「俊哉の言う通りなのかな……」

自分でも気付かぬうちに口からこぼれ出ていた。

「美音、アイツに会ったのか?」

私は頷いた。

「何を話した?」

「・・・」

「正直に全部話してくれ」

「創立記念パーティーに来てたって言っていました。俊佑さんが私を連れて挨拶しているところを見ていたみたいで、どうせ女避けにでもされたんだろうって。お前のセックスじゃアイツは満足しない。俺みたいに必ず別の女を抱く。断言してもいい。お前とのセックスじゃあ、満足どころかストレスが溜まるかもな。医者は性欲が強いって聞いたことがある……って」

「そんなことを言われて美音はなんて言ったんだ?」

「彼とあなたを一緒にしないで!って。私、私……」

「ん?」

「私、俊佑さんのこと大好きです。だから、遠慮しないで欲しい、抑えないで欲しい。激しくてもいい、本能のままに私を抱いてくれませんか?」

「美音……」

「ねぇ、俊佑さん、ダメ? 私じゃダメなの?」

自分でも何を言っているのかわからなくなるほど、心の中はぐちゃぐちゃだった。
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