彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
私たちは夜が明けるまで、何度も何度も身体を重ねた。
俊佑さんが持っていた避妊具も底をついてしまい、心地よい気怠さを感じながら彼の胸に顔を寄せると、彼は包み込むように抱きしめてくれた。

「美音、大丈夫か?」

「ちょっと怠いけど大丈夫です。俊佑さんは?」

「俺、もう無理かも。でも、最高にスッキリしてる」

「疲れてないですか?」

「心地よい疲労感だな」

「私も同じです」

「美音、ありがとう」

「え?」

「俺、手術した日は獣になるけど、付き合ってくれるか?」

「もちろんです。私が受け止めます。だから、安心して執刀して下さい」

「俺の奥さんは最強だな」

「うふふっ、私、離れませんよ」

「望むところだ。その前に永峰夫妻にサインしてもらわなきゃな」

「都合の良い日を聞いておきましょうか?」

「実は、今日でも構わないって言われてる」

「えっ⁉︎」

「昨日永峰さんに頼んだんだ。後日伺いますって言ったんだが、明日でも構わんよってね」

「じゃあ、お言葉に甘えますか?」

「そうだな」

「俊佑さん?」

「ん?」

「母に鍵を預かったって言ってましたよね?」

「あぁ」

「私とお母さんの間にはルールがあるんです」

「ルール?」

「お父さんと過ごした、お父さんが残してくれた大切なあの部屋に、家族以外誰も入れてはいけない、って」

「俺、勝手に入った」

「それでいいんです。だって、お母さんが鍵を渡したんですよ。びっくりしたけど、私、凄く嬉しかったんです」

「俺も家族の仲間入りできた、ってことか」

「はい」

「なんだよそれ、嬉しすぎるだろう」

照れを隠すように私をギュッと抱きしめる俊佑さんが愛しくて、調子に乗ってキスをすると、倍以上で返ってきた。

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