彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
私たちはまったりとした午前中を過ごした後、昭二おじさん宅に挨拶へ行き、婚姻届にサインをしてもらった。
永峰家を出ると役所へ行き、婚姻届を提出した。
今日から私は高椿美音だ。なんだかくすぐったい。

その足で高椿家にも報告へ訪れたのだが、まだ出していなかったのかと、逆に驚かれた。
沙織さんはカナダから帰ってはいないようで、高椿家は心なしか静かだった。
モブ子さんの淹れてくれたお茶をいただき、高椿家を出ようとソファーから腰を上げた時、俊佑さんのスマホと私のスマホがほぼ同時にメールの受信を告げた。
お互い確認すると、母と沙織さんがホテルの部屋で、夜景をバックに頬を寄せ合い自撮りしたと思われる写真だった。母の手にはシャンパングラスが握られている。

「うわぁ、向こうで合流したんですね」

「なんかこの絵面、最強感を醸し出しているんだが。しかも向こうは夜中だろ」

俊佑さんの言葉に、その場にいた全員が画像を覗き込んだ。

お祖義父様「まったくだ」
お義父様 「確かに」
お義兄様 「泣く子も黙りそうだな」

高椿家男性陣をも黙らせそうな勢いの写真だった。

今度会う時は "沙織お義姉様" と呼んでみよう。この最強の女性がどんな反応をするのかとても楽しみだ。

< 130 / 151 >

この作品をシェア

pagetop