彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
そんな中、俊哉と廣藤愛莉の行動を知った沙織さんは、彼女自身が確立してきた幅広い情報網を駆使し、彼らが繋がっていることを容易に突き止めた。

高椿のパーティー当日、上司に遣いを頼まれホテルにやって来た俊哉は、私の存在に気がついた。私から目を離さずにいた俊哉を廣藤愛莉は遠目から見ており、俊哉を利用して私と俊佑さんを引き裂こうと画策したようだ。
俊佑さんと自分のツーショット写真をマネージャーに撮らせ、熱愛発覚といった記事が出るよう仕向け、俊哉にはショックを受けるであろう私と寄りを戻させようと企んだのだ。
全て廣藤愛莉のマネージャが話してくれたのだという。

寄りを戻すというよりか、私を不幸にしたいとしか思えない言動だった。もう二度と私の人生に関わってほしくない。

マネージャーは、週刊誌には渡していないが、写真を撮ってしまったことで自責の念に苛まれていたようだ。

彼女はいつも廣藤愛莉に振り回されていた。アメリカで助けてもらった俊佑さんの連絡先を入手できなかったことを罵倒され、以降も何かにつけ理不尽な扱いを受けてきた。何度も辞めたいと思ったが、彼女の兄が廣藤自動車で働いており、立場が悪くなるのではないかと懸念し踏み出せなかったそうだ。何も心配する必要はないと沙織さんに背中を押され、告白に至ったとのことだった。

だが、マネージャーが写真を持ち込んだとしても、記事が出ることはなかったと沙織さんは教えてくれた。
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