彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
しばらくすると、処置室から季織先生が姿を見せた。

「永峰さんのご家族の方ですね」

「はい」

朝戸専務が頷きながら返事をした。

季織先生は、昭二おじさんの状態について詳しく説明してくれた。 
虚血性心疾患、心筋梗塞。すぐに手術が必要とのことだった。

「手術を行うのは当院の最強ハートチームです」

季織先生は力強く語った

"ハートチーム"
手術を行う心臓血管外科医や麻酔科医、カテーテル治療や薬の処方を行う循環器内科医、看護師、薬剤師、放射線技師、リハビリを行う理学療法士、他多くの専門家が、職種を超え力を合わせ治療を行うチームのことをいう。

「季織先生、執刀医は?」

「高椿俊佑先生よ」

きっと大丈夫だ。だって、俊佑さんは嘘をつかない主義だから。

「美音を助けるのは俺だ。美音の大切な人も俺が助ける」

優也くんに嫉妬したと話してくれた時、真剣な眼差しで訴えるように放たれた彼の言葉を信じている。

季織先生の目をしっかりと見据え、私は深く頷いた。
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