彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
「どう?素敵だと思わない?」

「はい、とっても」

「それに、あのチャペルだったら、美音ちゃんのお父様も、お母様も、あなたたちの姿がよく見えるんじゃないかと思うの」

確かにそうだ。あんなに空を近くに感じる場所なら、お父さんも、俊佑さんや沙織さんのお母様も、近くにいてくれるような気がする。
沙織さんは、そこまで考えてくれていたのか……

「俺はいい思う。美音は?」

「私も凄くいいと思います」

「でしょっ!決まりね。私に任せてちょうだい」

「沙織お姉様」

「なぁに?」

「一つだけお願いがあります」

「まぁ、美音ちゃんからお願いなんて、言って言って、なんでも言って」

「バージンロードの絨毯を赤にして欲しいんです」

「それは構わないけど、どうして?」

「お父さんの夢だから」

「夢?」

「お父さん、私とバージンロードを歩きたい。赤い絨毯の上を、私と腕を組んで歩きたいって言っていたんです。あのチャペルのバージンロードは白い絨毯ですよね?我儘を言っているのは十分承知しています。でもやっぱり赤色の絨毯がいいんです」

「美音ちゃんの我儘ウェルカム!その夢、叶えましょう!」

「いいんですか?」

「もちろんよ!」

「ありがとうございます」

「そうと決まれば帰ってプランを考えなきゃ。じゃあね、寂しいでしょうけど、私は忙しいから帰るわ」

沙織さんはスキップしながら部屋を出て行った。
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