彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
「どうぞ、中へ」

執事のような仕草で私を中に通す。

先へ進み目に入ったのは、太陽が反射し、キラキラと輝く海面だった。
すぐ近くの浜辺で花火が打ち上げられる。
ここは絶好のスポットだ。

「今日はここに泊まろう」

「予約してくれていたんですか?」

「ああ」

「いつのまに……」

昼間は全くそんな素振りは見せなかったのに……
沙織さんの襲来、がっちゃんへの嫉妬、イチャイチャ。
こんなことを計画していたなんて、気付くはずがない。

「初めての泊まりだな」

「はい」

今までたくさんデートはしたが、泊まったことはなかった。

「ここなら病院もすぐそこだしな。呼び出されても問題ない。呼び出しがないことを祈るが」

嬉しすぎて言葉が出ない。

「美音?」

私は彼の胸に飛び込んだ。

「おっと!」

「俊佑さん」 

「ん?」

「俊佑さんは最高の旦那様ですね」

「今頃気づいたのか?遅いぞ美音」

「俊佑さん、私と出会ってくれてありがとうございます」

「全てがこのホテルから始まったんだよな」

「はい」

「美音、この先もずっと俺の隣にいてくれるか?」

「もちろんです」

「美音、愛してる」

私たちは口づけを交わす。優しい、とっても優しい口づけを。
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