彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
新たな道
私は、ベリが丘駅から二駅の場所に位置する永峰電気工事店の自社ビルの前に立っている。
呼吸を整えエントランスを抜けると、懐かしい笑顔が私を出迎えてくれた。
「美音ちゃん、待ってたわよ」
「お久しぶりです、瑠美子おばさん、梨香さん。それから、ご結婚と赤ちゃん、おめでとうございます」
「ありがとう。会えて凄く嬉しい」
「美音ちゃん、すっかりお姉さんになって、しかも玲子さんに似て美人さん。おばちゃんも、会えてとっても嬉しい」
「私も凄く嬉しいです。今日はよろしくお願いします。梨香さんつわりは大丈夫ですか?」
「ええ、かなり良くなったわ。心配してくれてたのね、嬉しい」
あまり目立たないお腹を、愛しい眼差しで撫でるその姿に熱いものが込み上げる。
「さっ、父も待ってるわ、行きましょう」
「はい」
「おばちゃんも話したいことはたくさんあるんだけど、今から出なくちゃいけないの。まぁ、4月になったらたくさん話せるからよしとしましょう。美音ちゃん、ゆっくりしてってねぇ」
「はい、ありがとうございます。気をつけて行ってきてください」
「梨香、あとはよろしくね」
「了解」