彼に抱かれ愛を弾く 〜ベリが丘恋物語〜
「・・・」
「・・・」
二人の間に沈黙が漂う。
えっ!私何言ってるの?
「あ、あのっ、これは」
次の言葉を頭の中で必死に整理しようとしていると、私は彼の大きな胸にゆっくりと引き寄せられた。
「え?」
「俺、無理だわ」
「高椿、先生?」
「俊佑、君には俊佑って呼んで欲しい」
彼が私を身体から離し、知性を詰め込んだようなキリッとした眼で私を見つめた。
この眼からは逃げらそうにない。
男性なんてもう懲り懲りだと思っていたのに、どうしてだろう、心がうるさい。
「もう一度言うよ。桃園美音さん、俺と結婚を前提に付き合って下さい」
「私で良いのですか?」
「君がいいんだ」
しばらく考え込んでしまい、なかなか答えを出せずにいたのだが、彼は何も言わず私の返事を待ってくれていた。
母が父にプロポーズしたこの場所で、今、私は彼に求められている。目には見えない何かに引き寄せられているような気がした。そして自然に口にした。
「よろしく、お願いします」
彼の表情が陽を浴びたようにパッと明るくなった。
「美音、って呼んでいいかな?」
「さっき会長さんの前で思いっきり呼んでましたよね」
「そうだった?」
「惚けないでください」
「美音」
「はい」
「美音」
「はい」
「美音」
「もう、いったいなんですか?」
「幸せを噛み締めているんだよ」
「美音」
「はい」
「ほら、名前を呼ぶと返ってくるだろう」
「じゃあ、俊佑さん」
「ん?」
「俊佑さん」
「なに?」
「呼んでみただけです」
「うんうん、いいねぇ、最高だ。悪いけど俺、離さないよ」
「本当ですか?」
「俺、嘘はつかない主義って言っただろう?」
「そうでした」
「さぁ、行こうか、パーティー会場へ。みんな待ってる」
「はい」
私は差し出された俊佑さんの手を取り腕を組んだ。
"Private" のドアを抜けると、俊佑さんにエスコートされながら螺旋階段を上り、会場へと向かった。
「・・・」
二人の間に沈黙が漂う。
えっ!私何言ってるの?
「あ、あのっ、これは」
次の言葉を頭の中で必死に整理しようとしていると、私は彼の大きな胸にゆっくりと引き寄せられた。
「え?」
「俺、無理だわ」
「高椿、先生?」
「俊佑、君には俊佑って呼んで欲しい」
彼が私を身体から離し、知性を詰め込んだようなキリッとした眼で私を見つめた。
この眼からは逃げらそうにない。
男性なんてもう懲り懲りだと思っていたのに、どうしてだろう、心がうるさい。
「もう一度言うよ。桃園美音さん、俺と結婚を前提に付き合って下さい」
「私で良いのですか?」
「君がいいんだ」
しばらく考え込んでしまい、なかなか答えを出せずにいたのだが、彼は何も言わず私の返事を待ってくれていた。
母が父にプロポーズしたこの場所で、今、私は彼に求められている。目には見えない何かに引き寄せられているような気がした。そして自然に口にした。
「よろしく、お願いします」
彼の表情が陽を浴びたようにパッと明るくなった。
「美音、って呼んでいいかな?」
「さっき会長さんの前で思いっきり呼んでましたよね」
「そうだった?」
「惚けないでください」
「美音」
「はい」
「美音」
「はい」
「美音」
「もう、いったいなんですか?」
「幸せを噛み締めているんだよ」
「美音」
「はい」
「ほら、名前を呼ぶと返ってくるだろう」
「じゃあ、俊佑さん」
「ん?」
「俊佑さん」
「なに?」
「呼んでみただけです」
「うんうん、いいねぇ、最高だ。悪いけど俺、離さないよ」
「本当ですか?」
「俺、嘘はつかない主義って言っただろう?」
「そうでした」
「さぁ、行こうか、パーティー会場へ。みんな待ってる」
「はい」
私は差し出された俊佑さんの手を取り腕を組んだ。
"Private" のドアを抜けると、俊佑さんにエスコートされながら螺旋階段を上り、会場へと向かった。