青い空の下、大好きな君の優しい笑顔が見たいから
「中学の時、友達と楽しそうに話してる時のお前はすごく楽しそうだった。なのに、今の桜は」


「やめて。湊君には関係ないことだから。私が笑ってるとか、笑ってないとか、そんなのどうでもいいことだよね? 同じクラスになったからって、私達は友達じゃないから」


「確かに今まで友達になったことないよな。でも、だったらさ、今から友達になろうよ」


湊君はそう言って、とても自然な感じで私の頭に手を伸ばし、優しくポンポンって2回叩いた。


その瞬間、フワッと優しい香りがして、「湊君はこんな匂いのする人なんだ……」って、新しい発見があった。それと同時に、「私は初恋相手のことを何にも知らないんだ」って、改めて思い知った。


すぐ近くにいる湊君の表情は、少し薄暗くてもよくわかる。男子なのに、肌も透明感があってツルツルしてて唇もツヤツヤで。まつげもすごく長くて。


この圧倒的な存在感は、他の誰にもない――ただ1人、湊君だけのもの。
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