青い空の下、大好きな君の優しい笑顔が見たいから
「別に彼女とか……考えたことないし。それより春野、お前、大丈夫なのか?」


「……う~ん、どうだろ。わかんない」


「何だよ、それ。ここって整形外科だろ? どこか痛むのか?」


本気で心配だった。
同級生が病気とか……やっぱり嫌だから。


「……歩けないの。私、1人では立てないから」


その瞬間、桜の顔が青ざめた。
歩けないなんて嘘だろ?


「春野……」


「ねえ、湊君。また会いにきて。私、いつでも待ってるから」


「あ、ああ、わかった。また来る」


「うん、ありがとう。約束だよ~」


「じゃあ、またな」


桜は、俺を見ようともせずに下を向いてる。
春野だけは、笑顔で手を振って見送ってくれた。


この2人に何かあることは、見ていてよくわかった。


桜の悩みは、きっと春野のこと――


でも、どうして桜はそんな春野に毎日のように会いに行くのか? 春野の笑顔の裏には、いったいどんな思いがあるんだろうか。


桜の苦しみ、俺が何とかしてやりたい。
俺に何ができるのかわからないし、プライベートなことに踏み込んでいいのかもわからないけど……
それでも、このままじゃダメだと思うから。


だけど、高校生の未熟な俺の頭には、今はまだ何も思い浮かばなかった。
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