青い空の下、大好きな君の優しい笑顔が見たいから
「……あ、ああ、じゃあ、はいはい、湊君」


初めて名前で呼んだ。
めんどくさいから仕方なく呼んであげた――みたいな顔してるくせに、本当は顔から火が出そうなくらい恥ずかしかった。


「うん、それでいい」


その優しい声、風に揺れる前髪、細くて長い指、この身長差……全てにドキドキして、私の心はパンク寸前だった。


「とにかく良かったよ、桜がいる場所がわかって。確かにあんまり光は届かないけど、落ち着くな、ここ」


「……み、湊君。お願い、もうここには来ないで」


動揺する自分の口から、またひどい言葉が出てきた。


「何で?」


「もしクラスのみんなに気づかれたら何言われるか」


「別にあいつらに何言われても関係ないし。それよりさ……」


話をそらされた。
湊君の淡々としたところ、さっぱりした性格も、ずっとうらやましいと思ってた。
私もそんな風に生きれたら……


「桜は、いつから笑わなくなった?」


「えっ……」


冷たい空気が肺の中に入ってくる。
サァっと、血の気が引くのがわかった。
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