─animaTane─ドレミ
サンは首を振り、自身の無力感に呆れた様子で空を見て、「あんなに情報量が多くて、犯人も特定されていた。けど、俺は活きまいても、またコトノを死なせ、またコトノ、キミのいない世界にいる。結末は変わらず、俺はまた輪の紋様を持ち、皮肉なことに俺の時間という能力は強くなり、力をつけたのに、時戻りをした俺には力がまだなかった」


サンは空を眺めていた視線を左手の赤色の輪に移すと「肝心な時に俺は無力だと知るよ」と力ない声音で囁き、その悲しげで苦しそうな姿をコトノは切ない顔で眺めた。


「けど、答えは見つかったんだ」


「答え?」


「そう、またコトノのいる未来が答えにはある」


コトノは底知れない負の感情をサンに感じた。それはコトノ自身がきっかけになり、サンは変わりつつある、そう思った。


「俺は11歳の頃に図書館でローなる人物に出逢った。ローはいずれ俺が全てを手に入れ、理想の世界を造ると言っていた。


俺はその時に生命の種を貰った。


生命の種は恐らく神話のセフィートの樹木の種だ。
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