─animaTane─ドレミ
6才になるミカエルは髪を切ることを嫌がった。そのため髪が女の子のように長く、その容姿もまた女性的でかわいらしかった。
農村の人々はキャサリンの子供は美しいと言い、一見して男の子だとは思えない顔立ちをしていた。
ミカエルは教会で聖書の勉強を日々していた。この農村では知識とは聖書であり、道徳とは聖書であり、教養は聖書であった。そのため村の子供の半数は教会で知識と道徳と教養を学ぶため教会に通っていた。
メリサは聖書をパタンと閉じて溜め息をもらした。
ミカエルとレイリーはそんなメリサを見て、メリサは不満混じりに「萎えた」と口にした。
「毎日、毎日、こんな分厚い聖書を読み書きしなきゃいけないなんて、頭から煙が出そうよ」
レイリーはそんなメリサに言う。
「勉学をしていないと、大人になった時にまともな仕事に付けないって、お父さんが言ってた」
メリサは口を尖らせる。
「レイリーはいいよね。具体的になりたいものがあるもの」
レイリーは誇らしげな顔をして、「ああ、この村、初めての騎士になるさ。あの王都騎士に入団さ」とにっこり笑う。
「そのためにはまず知識と教養だものね」
メリサは隣のミカエルを見た。
「ミカエルはなりたい夢とかあるの?」
ミカエルはうつむき加減にしばらく考え、「僕はみんなとずっと一緒にいたい。それが夢かな」と言う。するとメリサとレイリーは微笑み、メリサは「それは夢じゃなくて今じゃないー」と笑む。