完璧な執事、それともイケメン執事?
出会い

目の前に現れた人

朝の光が入り、窓からの風が長い髪をなびく。



侑里:あさ…



メイドの支度の音。

庭師のおじさんの声。

運転手の車のメンテナンス。

シェフのフライパンの料理すら音。
____

ここは世界的財閥の大東財閥。

いくつもの会社を手掛け、総資産は約8兆円超
と言われている。

敷地面積は東京ドーム2個分と言われている大東家。

先代から大東総一郎が受け継ぎ、

会社を一代で世界の大東家と呼ばれるまでに
成長させた。



その一人娘であるのが
大東侑里(だいとうゆうり)



生まれた時から執事がつき

何不自由ない生活を送っていた。

常に彼女の周りにはいつも執事やspがつく生活。

彼女にはパパラッチが追っていた。











また執事の恥澤。

生まれた時からずっとそばで支えてくれた。

彼は世界で数%しか受からない

と言われている特Sランクの持ち主。

執事の世界では、世界のバトラーと評されている。






3歳の頃

侑里:恥澤。これえほんなーに?

恥澤:侑里お嬢様。絵本にご興味が。
こちらはパレーヌの物語で、イタリアのお話です。
こちらお話に出てくるお花を
庭師に花束にして頂きましょうか。
飾って差し上げます。

侑里:うん!!








恥澤は私のこと何でも知ってる。

私の好きな色、好きな服。

すべて恥澤と一緒に暮らしを共にしてきたからかな。

恥澤とだったらなんでも上手く行く。

そう思った。




海外留学中は慣れないことも多くて、、勉強どころか
家が嫌になっていた。

恥澤:お嬢様どちらへ?

侑里:はじさわー!ピアノ嫌だ。

恥澤:昨日もお休みされたのでは?

侑里:ピアノかぁ。。毎日習い事…

恥澤:ふん…仕方ないですね。本日は風邪とでも伝えておきます。明日は頑張りましょうか。

侑里:ほんと!?ありがとう!!



おじさんだけど、

恥澤はなんでも私の願いを叶えてくれた。

私の気持ちもよく理解してくれて。

飼っていたペットが亡くなった時も手を握って
ずっとそばにいてくれた。

海外での事業を任された時も
恥澤は一緒になって手伝ってくれた。





恥澤が私の全てだったのかもしれない。
なのに…











留学で忙しくて久しぶりに帰国した。
ゆっくり目覚められる朝。

コンコンコン

??:おはようございます。侑里お嬢様。

侑里:はじさわぁぁおはよ??え?

いつもならお辞儀をして一歩前に出ているところ。
恥澤のルーティンは決まっている。




なのにそこに立っていたのは、細身の高身長、黒髪でハーフのような美しい顔立ちの男性だった。







??:おはようございますお嬢様。

侑里:使用人。恥澤にしか用はなくてよ。恥澤呼びなさい。

??:恥澤さんは本日からみえません。

侑里:体調悪いのね。まぁおじさんだしね。

??:お嬢様。お耳が聞こえませんでしたか。恥澤さんは、旦那様とご旅行へ旅立たれました。本日より私がお世話させていただきます。

侑里:え!?恥澤が!?

??:お手紙をお預かりしております。
手紙を受け取る。
                                




親愛なる侑里お嬢様へ

イタリア、イギリスのご留学お疲れ様でした。

私のいきなりの出発にさぞおどろかれたことでしょう。

お嬢様の執事になって18年。

幼い頃から執事をさせて頂けて本当に感謝しております。
私も定年の年齢になりお嬢様の執事としての役割を引退させて頂きます。

直接お会いしてお別れをする機会を設けず本当に申し訳ありません。

今までつかえてきたお嬢様で1番おてんばでありながら、1番の最高のお嬢様でございます。

それゆえ別れが寂しくなるのも事実でございます。
どうかまたお会いできるという
願いを込めてお許しください。

そちらにいる執事は特Sランク執事にございます。

私がお嬢様に不自由ないよう
世界から優秀な人材を選び手配しました。

私も手を焼いたお嬢様の
身の回りのお世話は大変かと思いますが、
きっと彼が良き理解者になるかと思います。

私は旦那様と海外での業務で
体に気を付けながら働かせていただいております。

どうか侑里様もお体に気を付けて。
ご活躍を期待しております。
恥澤



 





侑里:…いやだ!お父様に電話する!絶対恥澤なの!
バカ。

??:旦那様はバカンス中。電話は禁止にございます。
さぁお召し物のお着替えに

侑里:いい。電話貸して。つながるでしょ。

??:バカンスは携帯を所持しないと。

侑里:はぁ、、、




恥澤がいない人生なんて考えられない。
いつも起こしてくれる恥澤、服を着せてくれる恥澤。
もういないの…









??:朝のお支度を。お召し物失礼します。

侑里:自分でやるから…いい

??:かしこまりました。


服を受け取ってドレスルームへ走った。

恥澤がぜんぶ着せてくれてたんだ。。

ボタン…こうだっけ…あれ…





??:使用人メイドを呼んで。

リヒト:櫻井リヒトです。メイドはご朝食の準備をしております。いかがされましたか

侑里:もういい。この服で行く。

??:お嬢様!他人の目がございます。さすがにこちらでは…


上下パジャマでももういい。

リヒト:服が着られないのですか?恥澤さんは着せてくれたと…

侑里:わかった顔して…そうやって…

リヒト:お嬢様お願いしてくださいませ。そのための執事でございます。

侑里:…はぁ。はい。これ。

リヒト:着せて。と

侑里:2分で着せなさい。

リヒト:かしこまりました。ドレスルームに失礼。







スッと入ってきて、2つ服を手に持った。

リヒト:こちらの方が本日のお肌の調子的に映えるかと
(恥澤のときはなんにも思わなかったのに男の人だ……)



侑里:執事。これも。
リヒト:リヒトでございます。
侑里:櫻井。
リヒト:リヒト。でお願いします。
侑里:えー。
リヒト:失礼。お嬢様お胸のカップ数があっておりませんね。
侑里:いやっ、、どこ見てるの!!
ありえない!ホント…この執事。

 




リヒト:侑里お嬢様。
執事はお嬢様の全てを管理いたします。
本日全ての下着を新調します。
成長期なので変わることもあるのですよ。




携帯を持ちどこかへ電話をかけるリヒト。




リヒト:大東家執事リヒトです。 
オーダーメイドの下着D。
下はSサイズシルク生地のものを。
すべて本日揃えてください。最高のものを。
13時にお待ちしております。よろしくお願いします。





侑里:なんでサイズすぐわかるの。。

リヒト:目で見ただけでわかります。
お嬢様方の体を理解するのも執事の仕事です。
デザインも執事ならお嬢様の好みも理解しております

侑里:え?


メジャーで次々と測るリヒト。


リヒト:うん、サイズ全てに狂いはありません

侑里:ちょっとこわっ。。

リヒト:成長されている時期には大切な事です。
それにしても意外でしたね。恥澤さんにしてはミスですね。それかあえて気づかないふりをしていたのか。

侑里:恥澤を悪くいわないで。

リヒト:申し訳ございません。では車椅子をご用意しております。

侑里:歩くからいい!




素通りしてドアを開ける。
いつもの食堂への道は…。
どこ…だっけ。

なーんて考えていると
ふわっ。ひょい。
体が浮いた。


リヒト:お嬢様。リハビリの成果は出ているようですがご無理はいけません。

侑里:もう!

リヒト:あとお嬢様。この身体軽すぎます。
ちゃんと食べていますか?
必ずお食事を食べていただきますからね。
恥澤さんはお優しいでしょうが。


(本性を見た気がする…目が笑ってないもん。)
侑里:朝食は要らないの。私食べないから。

リヒト:それは困りますお連れいたします。












使用人はおよそ50名ほど。
ダイニングルームにやっと着いた。
喧嘩がとまらないわけで。







メイド:おはようございます。お嬢様。あらお嬢様お顔が…

侑里:ごきげんよう。朝から疲れた…

リヒト:朝食の準備が整いました。お嬢様にご紹介したい方がいます。

侑里:紹介??

奏:お嬢様。お久しぶりでございます。

侑里:食べないわ。朝からご飯なんて。。

リヒト:お嬢様に喜んでいただけるように、このシェフをご用意したのですが

侑里:え?奏!!

奏:お嬢様。お久しぶりです。イギリスから戻って見えたのですね。お帰りなさいませ。

侑里:なんでここに…奏!びっくり!いつ帰国したの!?

奏:リヒト様のご意向で。ただいま実は妊娠中で
日本にいまして出勤数を少し減らしながら
またシェフのお仕事をさせて頂いてます。




奏は幼い頃からこの財閥のシェフで、2年前海外で修行も兼ねてフランスへ行っていた。

奏の優しい笑顔が大好きで
よく相談にも乗ってもらった。


リヒト:羽田奏シェフがこれからお嬢様の食事を全てを担当していただきます。お嬢様もご満足頂けるかと。

(確かに…日本食は好きなんだけど、
今のシェフが作るご飯が好きじゃなかった。
それをリヒトは見抜いてたってこと…さすが特S) 



侑里:奏ママになるんだね、、すごいなぁ。本当に奏あいたかったよ〜。

奏:お嬢様のお話また聞かせてくださいね。お嬢様すこしお疲れですね。業務がお忙しいのですか?

侑里:…イタリアでの生活に慣れちゃってイタリアの食事以外なんだか食べられなくって。

奏:そうでございましたか。味付けをあちらの味に寄せますね。食べなくちゃお体に触りますよ?

侑里:奏が作るんだったら食べなきゃ。

奏:はい、ご無理なく今朝食を。


蘭:さすがリヒト様だわ…お嬢様の弱いところついてる。


侑里:リヒト。奏は赤ちゃんいるんだから働かせすぎたらリヒトがクビだから。同じ味が作れるシェフもお願いするわ。

リヒト:かしこまりました。手配済みです。








奏:こちらお取り寄せしたパンとハーブティーです。
イタリアのラトゥーユのお店から直輸しております。

侑里:ラトゥーユ!?

リヒト:お嬢様の通っていらしたパン屋ですね。

侑里:恥澤から聞いたの?
リヒト:お嬢様がこっそり通っていたパン屋と知っておりました。

侑里:バレてたんだ…



恥澤に言ったら怒られるから学園の帰りに
運転手に必ずお願いして止めてもらっていた。


侑里:美味しい。。

奏:お嬢様ご無理なさられぬよう応援していますから。

侑里:ありがとう奏。

プー!
運転手がつく。

リヒト:ではお嬢様本日のご予定ですが、

侑里:今日はお買い物いってくるの。運転手がついたわ。

リヒト:申し訳ありません。すでに先約が。
ミラト様が10時に応接間にて。
また11時半からは弁護士の先生。
15時からはリハビリがございます。
13時から下着を新調させていただきます

侑里:あ〜思いやられる。なんで予定が決まってるの。

リヒト:お嬢様次期当主ですから旦那様からのお仕事は。お気持ちはお察ししますがどうか

侑里:もう!リハビリかぁ…いやだなぁ…






小さい頃から病弱で
すぐに体調悪くしてしまうため
なるべく車椅子の生活をしている。
体力作りのためにリハビリに通っている。






そんな彼女と俺は実は小さい頃会っていた。
10年前のこと。




恥澤さんがよくこの家に招待してくれていた。

恥澤:この子が侑里お嬢様

リヒト:こんにちは…侑里お嬢様

恥澤:のちに仕えるお嬢様だ。

リヒト:恥澤さん、、、

恥澤:きっとステキなお嬢様になられる。よくみておくことだ。



ヒョコっと恥澤さんの隣に隠れた。
本当に幼くて目が丸くて小さくて可愛かった。

恥澤:こら、お嬢様。隠れてはいけません。お嬢様たるもの堂々として挨拶するものです。
はじめましてからですよ。


恥澤さんの後ろにいる少女は今にも泣きそうだった。

侑里:はじめまして、、、お兄ちゃん

手が震えてる。。

恥澤:お兄ちゃんですか。まぁいいでしょう。恥澤は所用があります。また何かあればお呼びください。お席を外させていただきます。

侑里:はじ…さわ〜

リヒト:涙が。

ハンカチで拭き手を繋いで公園を散歩した。


リヒト:髪の毛キレイ…ですね。
侑里:侑里の?いつも恥澤がゆっくりとかしてくれるの。

恥澤さんの話をすると溢れてくる笑顔。

侑里:あっゆうり…初めてのお友達…
あ、四つ葉のクローバー!恥澤がね!これを見つけると幸せが起きるからいつも幸せになって欲しい人にあげてって。

リヒト:これ、、大切はものでは。 

侑里:侑里のそばにいる人はみんな幸せでいて欲しいもん。あげる。

リヒト:ありがとうございます大切にします。

侑里:うん!






侑里様は本当におてんばで
よく恥澤さんの目を盗んでお花を見つけに
外出して怒られることもしばしば。 

一緒にピクニックをしたり 
城の使用人を大切にしているお嬢様だからこそ
使用人向けにパーティーを開いたり
みんなが暖かくて、笑顔で。


そんなお嬢様をみて恋したように
彼女で頭でいっぱいになった。

執事手帳にはあの時の四葉のクローバー…






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