嘘つきな彼 ~八年付き合った彼から『距離を置きたい』と言われました。これってフラれた?それとも冷却期間でしょうか?
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修と別れを決めた私は、時々修がいないことに寂しさを感じつつも、それまでと変わらない日常を過ごしていた。
「笹塚さんが元気になってよかったよ」
「いろいろご迷惑をかけてすみません」
「迷惑なんてしてないよ、心配しただけだよ」
なんて会話をしつつ、気合を入れて働いた。
なんだかんだと面倒見のいい尾瀬課長とは、あれから3回ご飯に連れて行っていただいた。
そんなある日の昼休憩中、休憩室でお弁当を食べた後、デスクでコーヒーを飲みながらスマホをつついていた。
その時、修からのメッセージが届いた。
【週末、会える?】
は?どうして?
1か月ぶりの連絡に動揺が隠せない。
しかも、何もなかったかのようなこの文章。
意味が分からない。
【会わないけど、何の用事?】
【親から連絡があってさ、俺んちに荷物送った?】
【送った】
【なんで?】
【うちにあったから。勝手に捨てるわけにはいかないでしょ】
【どうして捨てるんだよ?】
【は?別れたんでしょ?】
【何言ってんだよ。別れるわけないだろ】
【距離置こうって言って、連絡しても返事もない。今まで連絡もないし、別れようって意味でしょ】
【お互い冷静になろうって意味だよ】
【私は別れようって言う意味だと思ったし、それでいいと思ったから、実家の住所しか知らないからそっちに荷物も送った】
【今の住所、教えるよ】
【いらない。もう連絡もいらない】
【日曜日に話そう。家に行くよ】
【来ないで。話すことない】
【話したい】【逢いたい】【お願い】
今更何なの?
一方的な内容に怒りを覚え、文章を睨みつけた。
寂しいと思っていた自分が嘘のように、怒りと気持ち悪さでいっぱいになる。
「おーい、笹塚?」
「あ、はい!」
呼ばれて慌てて振り返る。
目の前には尾瀬課長が立っていた。
「何かあったか?」
「え?」
「ものすごい、形相でスマホ睨みつけてるぞ」
「うう」
「よし、今晩、飯行くか?」
「ううう。はい。連れて行ってください」
私の怒りを聞いてもらおう!
「あ、そうだ。この間、笹塚が行きたいって言ってた店にするか?」
「わあ!いいですね、行きたいです!」
怒っていたはずなのに、尾瀬課長のその一言で、顔が綻んでしまう。
何気ない言葉を覚えていてくれたこととか、表情で気持ちを慮ってくれることとか。
誰でもない、尊敬する先輩で上司の尾瀬課長が気にかけてくれることが嬉しかった。
尾瀬課長は優しく微笑むと、ポンと頭に手を乗せた。
それは一瞬のことですぐに置かれた手は離されたけれど、お兄ちゃんみたいだとしてしまった。
ううう。
こういう優しさに飢えてるのかしら。
この夏は帰省しようと思うのだった。
修と別れを決めた私は、時々修がいないことに寂しさを感じつつも、それまでと変わらない日常を過ごしていた。
「笹塚さんが元気になってよかったよ」
「いろいろご迷惑をかけてすみません」
「迷惑なんてしてないよ、心配しただけだよ」
なんて会話をしつつ、気合を入れて働いた。
なんだかんだと面倒見のいい尾瀬課長とは、あれから3回ご飯に連れて行っていただいた。
そんなある日の昼休憩中、休憩室でお弁当を食べた後、デスクでコーヒーを飲みながらスマホをつついていた。
その時、修からのメッセージが届いた。
【週末、会える?】
は?どうして?
1か月ぶりの連絡に動揺が隠せない。
しかも、何もなかったかのようなこの文章。
意味が分からない。
【会わないけど、何の用事?】
【親から連絡があってさ、俺んちに荷物送った?】
【送った】
【なんで?】
【うちにあったから。勝手に捨てるわけにはいかないでしょ】
【どうして捨てるんだよ?】
【は?別れたんでしょ?】
【何言ってんだよ。別れるわけないだろ】
【距離置こうって言って、連絡しても返事もない。今まで連絡もないし、別れようって意味でしょ】
【お互い冷静になろうって意味だよ】
【私は別れようって言う意味だと思ったし、それでいいと思ったから、実家の住所しか知らないからそっちに荷物も送った】
【今の住所、教えるよ】
【いらない。もう連絡もいらない】
【日曜日に話そう。家に行くよ】
【来ないで。話すことない】
【話したい】【逢いたい】【お願い】
今更何なの?
一方的な内容に怒りを覚え、文章を睨みつけた。
寂しいと思っていた自分が嘘のように、怒りと気持ち悪さでいっぱいになる。
「おーい、笹塚?」
「あ、はい!」
呼ばれて慌てて振り返る。
目の前には尾瀬課長が立っていた。
「何かあったか?」
「え?」
「ものすごい、形相でスマホ睨みつけてるぞ」
「うう」
「よし、今晩、飯行くか?」
「ううう。はい。連れて行ってください」
私の怒りを聞いてもらおう!
「あ、そうだ。この間、笹塚が行きたいって言ってた店にするか?」
「わあ!いいですね、行きたいです!」
怒っていたはずなのに、尾瀬課長のその一言で、顔が綻んでしまう。
何気ない言葉を覚えていてくれたこととか、表情で気持ちを慮ってくれることとか。
誰でもない、尊敬する先輩で上司の尾瀬課長が気にかけてくれることが嬉しかった。
尾瀬課長は優しく微笑むと、ポンと頭に手を乗せた。
それは一瞬のことですぐに置かれた手は離されたけれど、お兄ちゃんみたいだとしてしまった。
ううう。
こういう優しさに飢えてるのかしら。
この夏は帰省しようと思うのだった。