陽之木くんは、いつもそうだ。
陽之木くんはいつも、いつもいつも、嘘をつく。
陽之木くんは私を好きなわけじゃない。 私を揶揄うのが好きなだけ。
「素直じゃないなぁ」
本当に好きだったら『好きだよ』なんてこんな簡単に言えるわけない。
嘘つきって言われてこんな風に笑っていられるわけない。
そもそも陽之木くんの周りにはたくさん可愛い女の子がいるのに、わざわざ真面目が取り柄のくせに受験に失敗して卑屈になってる私なんかを好きになるわけがないし、なにより、『茅野』は私の苗字だし。
正直、もう疲れた。
私の反応を見て楽しむためだけに渡される、スナック菓子のような〝好き〟も、
廊下で話しかけてくる陽之木くんの後ろにいる陽気な仲間たちからの白い目も、
明らかに陽之木くんに好意を寄せてるバスケ部マネージャーと、
その子を『マリナ』って呼び捨てする陽之木くんにも。
その全部に疲れた。
これまで、陽之木くんの気まぐれな一挙一動に心を乱され、動揺して、浮かれてみた次の瞬間には生きる世界の違いに落ち込んで。
もう疲れた。 疲れたのだ。
来週卒業式を終えたら、私たちはそれぞれ別の大学に進学する。 それを機に陽之木くんとのよくわからないこの関係性もきっと、終わりを告げる。
陽之木くんは私を好きなわけじゃない。 私を揶揄うのが好きなだけ。
「素直じゃないなぁ」
本当に好きだったら『好きだよ』なんてこんな簡単に言えるわけない。
嘘つきって言われてこんな風に笑っていられるわけない。
そもそも陽之木くんの周りにはたくさん可愛い女の子がいるのに、わざわざ真面目が取り柄のくせに受験に失敗して卑屈になってる私なんかを好きになるわけがないし、なにより、『茅野』は私の苗字だし。
正直、もう疲れた。
私の反応を見て楽しむためだけに渡される、スナック菓子のような〝好き〟も、
廊下で話しかけてくる陽之木くんの後ろにいる陽気な仲間たちからの白い目も、
明らかに陽之木くんに好意を寄せてるバスケ部マネージャーと、
その子を『マリナ』って呼び捨てする陽之木くんにも。
その全部に疲れた。
これまで、陽之木くんの気まぐれな一挙一動に心を乱され、動揺して、浮かれてみた次の瞬間には生きる世界の違いに落ち込んで。
もう疲れた。 疲れたのだ。
来週卒業式を終えたら、私たちはそれぞれ別の大学に進学する。 それを機に陽之木くんとのよくわからないこの関係性もきっと、終わりを告げる。