陽之木くんは、いつもそうだ。
「まぁそれだけの関係だったってことじゃん?」

 その通りです、心の中で相槌を打った。
 壇上には白を基調とした花がたくさん飾られて、その中央で遺影の中の陽之木くんが笑っている。
 それはバスケ部のみんなと撮ったものを拡大したもので、私といる時に見せる表情ではなかった。
 棺桶で眠る陽之木くんは頭に包帯を巻かれていてもきれいで、真っ白な人形みたいで、私の知ってる陽之木くんではなかった。
 陽之木くんの最後の顔を呆然と眺めながら、私は涙が出るほど悲しくなるどころか、もうこれ以上陽之木くんに心を乱されなくていいんだという解放感すら感じていた。
 それよりお焼香の仕方に自信がなくて、ちゃんとできるように前の人の動きを観察するので忙しく、故人を悼む場というのをわかっていながらどこか他人事だった。
 そうやって私は、陽之木くんとの最期の時間をあっという間に終えた。

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