星が歌ってくれるなら ~ハープ奏者は愛をつまびく~
そろそろと動かす。ハープが揺れて、とっさに手で支える。
「やっぱ怖い、無理」
じゃあ、と言って彼はストラップをハープにつけ、彼女をくぐらせるようにしてかける。これで少なくとも落下は防げそうだった。
「本格的にやるわけじゃないですし、左手で支えてください。弾くのは右手だけで」
ホッとして、左手でハープの長い方を抱えるように持つ。
「弦は指ではじくんです」
「爪じゃないんだ」
「種類にもよりますけどね」
おそるおそる指をひっかけてはじいてみる。頼りない音が響いた。
「もっと強く弾いても大丈夫ですよ」
「だけど、壊したら……」
「弾くくらいじゃ壊れません」
苦笑して、彼は彼女の手を取った。詩季の心臓がどきっと大きく脈打った。思ったより大きな手で、指先は硬かった。寄りそう体温に、詩季は緊張してしまう。
絃斗は気付いた様子もなく彼女の指を第一関節くらいまで弦の間に差し入れる。
「これくらいです。角度は45度くらいで」
すぐに彼は離れた。が、彼女は心臓がどきどきして手に力が入らなくなってしまった。
絃斗は苦笑してハープを受け取り、自分の膝の上に構えた。
「よく見てください」
よく見る彼は、堂々と自信に満ちていた。頼りなかった顔がきりっとしてハープを見る。
ぽろろろん、と音を鳴らした。星がこぼれるような音だった。
「やってみて」
また彼女の膝に乗せる。
指を弦に差し入れ、はじいてみる。
ぽろん、と音が鳴った。
続けて適当に弦をはじいてみる。音が鳴るたびに体に振動が伝わって肌が震える。
「どの弦がどの音かわからなくなるわ」
「だから色がついてるんですよ。あとは感覚で覚えていくから大丈夫かな」
「指、痛くならないの?」
「慣れれば指が堅くなって平気になります」
「一曲なにか弾いてみたいな」
「えっと、じゃあ、きらきら星、どうかな」
「やっぱ怖い、無理」
じゃあ、と言って彼はストラップをハープにつけ、彼女をくぐらせるようにしてかける。これで少なくとも落下は防げそうだった。
「本格的にやるわけじゃないですし、左手で支えてください。弾くのは右手だけで」
ホッとして、左手でハープの長い方を抱えるように持つ。
「弦は指ではじくんです」
「爪じゃないんだ」
「種類にもよりますけどね」
おそるおそる指をひっかけてはじいてみる。頼りない音が響いた。
「もっと強く弾いても大丈夫ですよ」
「だけど、壊したら……」
「弾くくらいじゃ壊れません」
苦笑して、彼は彼女の手を取った。詩季の心臓がどきっと大きく脈打った。思ったより大きな手で、指先は硬かった。寄りそう体温に、詩季は緊張してしまう。
絃斗は気付いた様子もなく彼女の指を第一関節くらいまで弦の間に差し入れる。
「これくらいです。角度は45度くらいで」
すぐに彼は離れた。が、彼女は心臓がどきどきして手に力が入らなくなってしまった。
絃斗は苦笑してハープを受け取り、自分の膝の上に構えた。
「よく見てください」
よく見る彼は、堂々と自信に満ちていた。頼りなかった顔がきりっとしてハープを見る。
ぽろろろん、と音を鳴らした。星がこぼれるような音だった。
「やってみて」
また彼女の膝に乗せる。
指を弦に差し入れ、はじいてみる。
ぽろん、と音が鳴った。
続けて適当に弦をはじいてみる。音が鳴るたびに体に振動が伝わって肌が震える。
「どの弦がどの音かわからなくなるわ」
「だから色がついてるんですよ。あとは感覚で覚えていくから大丈夫かな」
「指、痛くならないの?」
「慣れれば指が堅くなって平気になります」
「一曲なにか弾いてみたいな」
「えっと、じゃあ、きらきら星、どうかな」