『好き』って言って

病院へ着くとまだ処置中との事で待合室へ通された。


しばらくし、ゆなが運ばれて来た。


はると「お母さん、病状を説明します。こちらへ」

「はい…」


私は不安を隠し切れずにいた。

はると「お母さん、大丈夫ですか?」

「はい…すみません。」



ーガラガラ


はると「お座り下さい。」


私が腰をかけると先生は話し始めた。


はると「お母さん、今ゆなちゃんはあまり良い状態ではありません。」

「…え?」

はると「心臓病がみつかりました。」

「そんな…」

はると「拡張型心筋症と言って国で難病指定されている病気です。」

「治るんですよね…?」

はると「まずは、薬物療法で様子をみてみましょう。しかし完治させるには、心臓移植しかありません。」


私が言葉を失うと、


はると「お母さん。」

「…はい。よろしくお願いします…」

はると「暫く入院になりますが、一緒に頑張りましょう。」

「はい…。」

はると「他になにか聞きたい事ありますか?」

「…ゆなは、大丈夫なのでしょうか?」

はると「今のところは何ともいえません。現状ではとても厳しいとだけお伝えしておきます。」 

「先生が言う厳しいって余命がわずかと言うことですか?」

はると「現状では。しかし、薬物療法で、どこまで効果が出るかによって大きく変わってきます。」

「そうですか」


頭の中が真っ白になってしまい、先生の話が入って来なかった。


はると「お母さん、落ち着いたらまた話しましょう。ゆなちゃんにはお母さんから伝えますか?」

「先生からお願いしてもいいですか?ゆなに上手く伝えられそうになくて…」

はると「わかりました。目を覚ましたら私から伝えておきますね。」

「よろしくお願いします。」


そう言い私はゆなの荷物を取りに一度家へ帰った。



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