『好き』って言って
ーはるとー
仕事が一段落し、病室を訪れるとゆなちゃんは起きていた。
とても顔色も悪く、少し息苦しそうな呼吸をしていた。
「目が覚めたみたいだね。」
いつも見たいな笑顔はなく、とても不安そうな顔をしていた。
ゆな「ねえ、先生ー?すぐ退院できる?」
「ごめんね。暫く入院かなー」
「そっかあ」
ゆなちゃんは窓の外に目を向けた。
「ゆなちゃん、大事な話があるんだ。」
ゆな「なんですか?」
ゆなちゃんは窓の外を見たまま返事をした。
「大事な話だから、僕の顔みて?」
そう言い俺はゆなちゃんに近づいた。
「ありがとう。ゆなちゃん、今まで苦しくなったり、胸が痛かったりした事ない?身体がだるかったり」
ゆな「そんなのいつもだるいです。」
「そっか。胸の痛みとかは?」
ゆな「それもいつもの事です。」
「答えてくれてありがとう。ゆなちゃんは拡張型心筋症と言って心臓に病気が見つかったの。だからこれから薬を飲んだりして、治療していくからね。」
ゆな「…でてって」
「え?」
ゆな「だから、出てってば!!!!!」
「…ゆなちゃん、また来るね」
そう言い俺は部屋から出ていった。
病室からはゆなちゃんの啜り泣く声が聞こえていた。
俺はどうする事も出来ず、医局へ戻る事にした。