あなたと普通でトクベツなこと。
受験勉強で忙しいのにわざわざ本家に挨拶に来てくれて、申し訳ない気持ちになった。
「頑張ってくださいね。李奈さんならきっと受かりますわ」
「ありがとう!八重姉様と同じ制服が着られるの楽しみ!」
ニコニコ笑顔を向けてくれる李奈がとてもかわいいと思った。
明日は恒例の家族と親戚全員で初詣に行くことになっている。李奈のために合格祈願の御守りを買わねば、と思った。
* * *
翌日。初詣の参拝客で賑わう神社には場違いな、黒服にサングラスをかけた強面のSPたちが八重たち家族を取り囲む。
周囲の人たちは何事なのかとザワザワしていた。
このように目立ってしまうのも毎年のことだ。
八重は小さく溜息をつく。
「八重お嬢様、お足元にお気をつけください。砂利石が多く危ないですから」
「ああ、はい……」
砂利石くらいで足を取られることもないと思うが、適当に返事をしておいた。
「ママー、みて。あのおねーちゃん、きれえだよ」
「本当ね。お着物がよく似合っていてお姫様みたい」
「あそこにいる着物美人、ヤバくね?一人だけオーラが違うんだけど」
「うわ、ああいうのを大和撫子っていうんだろうな」