どうか、決してほかの誰もこの可愛さに気づきませんように…
1.
神社までの道のり。


すごくうれしい一方で、ツラくもある。


うれしいほうの理由は、決まりきっている。ユカリが俺のすぐ隣を歩いているからだ。


町内だから片道わずか7分。とはいえ、こんなのまるでデートみたいだ。


……はっ!


『みたい』じゃなく、これはデートと言いきってしまっていいんじゃないか?


たとえユカリにそんなつもりはないとしても、俺がデートだと思えば、少なくとも俺にとってはデートだ!


はああ、俺の幼なじみで、誰よりも可愛いユカリ。


今日も最高に可愛い。


白いダッフルコートの裾に付いている泥はね汚れさえも!


どうせ、雨の日でもなーんの頓着もせずに着たんだろうな。


おばさんに『また汚して!』と文句を言われても、『気づいたときには汚れてたんだよね』と、ケラケラ笑うユカリが目に浮かぶ。


そんな想像のユカリすらも愛おしい。

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