どうか、決してほかの誰もこの可愛さに気づきませんように…
「やめときなって! 神主さんだって常駐してないような神社で!」
確かに神主は神事のときだけ、隣の市にある大きな神社からやってくる。
「神主はいなくたっていいんだよ。神様さえいれば」
「神様もイベントのときに出張で来てくれるだけで、今日だって不在かもよ?」
「んなことあるかっ!」
「ねえ、トモキは何がそんなに不安なの? 普通にやれば……っていうか、ちょっとぐらいミスしたって平気なぐらい安全圏なんじゃないの?」
「そうだけど……」
俺の願い事はそれじゃない。
「と、とにかく俺はこの千円札を納める!」
そうして、何が何でもこの願いは聞き入れてもらうんだ!
『あちゃー』という顔のユカリ(その顔も力いっぱい抱きしめたくなるほど可愛い!)を尻目に、俺は祈った。それはそれは真剣に!
どうか、どうか! 俺のいないところで、決してほかの誰もユカリの可愛いさに気づきませんように……