どうか、決してほかの誰もこの可愛さに気づきませんように…
「でも、トモキは年上がタイプなんでしょ? 高校に行ったら、美人な先輩がいっぱいいそうじゃない?」
「へっ、年上……?」
一瞬何のことだと戸惑ったけれど、すぐに思い出した。
あれは、3年になってすぐのことだった。
ユカリが休み時間、唐突に俺を廊下呼び出し、聞いてきたのだ。
「トモキはどんな女子がタイプ?」
あのときの俺は、心臓がどうにかなりそうだった。
「な……何で?」
質問に質問で返しながら、頭の中で絶叫していた。
『どんな女子』って聞かれても、『どんな』の意味がわかんねーよ!
『どんな』なんてねーし!
もちろんユカリ! ユカリがタイプ!
「あー……」
ユカリは気まずそうに言い淀んだ。
えっ、これってもしかして期待しちゃっていいわけ?
そんな質問をするってことは……