どうか、決してほかの誰もこの可愛さに気づきませんように…
ユカリは顔の前で小さく手招きをしてきた。
俺がそれに応じると、ユカリは俺の耳元に口を寄せてきた。
俺の体は期待でパンパンになった。
ユカリの息が耳にかかって、はち切れる寸前まで膨らんだ。
「あのね、誰かは教えられないんだけど、友達から頼まれて」
それを聞いた瞬間、一気に体中の空気が抜けてしまった。
ガッカリするにもほどがある……
「幼なじみがモテると、私も鼻が高いな。トモキは優しいから当然なんだけど」
俺が……『優しい』……?
それは大いなる誤解だった。
はっきり言う。俺の優しさの対象は、ユカリだけ。つーか、女子はユカリ以外まともに見えてもいない。
でもユカリに悪く思われたくないから、ユカリの友達にまでついでにいい人ぶりたいと思っている。