どうか、決してほかの誰もこの可愛さに気づきませんように…
気合い充分な“合格”の次に、小さいのに形の整っている“トモキ”をゆっくりなぞった。
ふと……本当にふと……
このお守り袋の中に入っている紙が見たい。
そう思った。
いやいやいや、お守りの中身を開けて見るなんて……
でも、これは神社で授与してもらったお守りとは違うし?
中身は何なのか聞いて知っているんだし?
『トモキが第一志望校に合格しますように』
それってつまり、俺への激励メッセージだろ?
俺が見てはいけない道理がない。
もちろんユカリの筆跡は熟知している。ユカリの字なら、ひと目でそうだと判別できるほどに。
それでも、どんな字で書いてくれたのか無性に見たい!
もしもお守り袋が縫い閉じられていたら、ここで思い止まっていたと思う。
いくら中を開けたくても、ユカリが縫ってくれた糸を切るようなことはできないから。
しかし、紐で結んであるだけなのだ。
しかも結び目を完全に解かなくても、緩めるだけで中身が取り出せそうだ。