どうか、決してほかの誰もこの可愛さに気づきませんように…
2.
何とも寒々しい砂利道……


「相変わらず誰もいないねー」


神社の鳥居をくぐりながら、ユカリがそう言って笑った。


「それを狙ってたんだろ?」

「そうそう」


普段は寂れた神社だけれど、夏祭りの期間中と正月三が日はウソだろ!? ってほど混む。


かき氷を買うにも参拝するにも、神社がまだ見えてこないようなずっと先から並ばないといけない。


「受験生が風邪ひくわけにはいかないじゃない?」


ユカリの提案で、1月末にこうして初詣、兼合格祈願にやってくることにしたのだった。


「一拝二拍手でいいんだっけ?」

「ニ拝二拍手じゃないか?」

「そっか」


素直に2回お辞儀をするユカリを横目で見た。


部活を引退して、髪もずいぶん伸びた。


部活引退前までは、俺も安心しきっていたんだけどな……

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