どうか、決してほかの誰もこの可愛さに気づきませんように…
ユカリは渾身の力を込めて手を叩き、パンッ! パンッ! と気持ちのいい音を境内に響かせた。
真剣な顔で祈る横顔。
頬もふっくらしてきたなー。
あっ、やべえ。これ以上見ていたら、本気であの頬に触れたくなる。
あー、俺がそう思うってことは、ほかのやつらも同じことを思う可能性があるんだよな……
運動量が減っているのに、受験勉強の合間に甘いものを口に入れているに違いなかった。
それでもまだ標準体重には足らないだろうから、もっと丸くなってもいいはずだ。
というか、健康ならどんな体型だろうが構わない。俺から見たら、どんなユカリもユカリだ。
だけど!
ほかのやつらはそうじゃない!
そして、少しふっくらしてきた途端、ほかの女子に向けるのと同じいかがわしい視線でユカリを見始めた。
ユカリを見守る俺のセンサーがすぐさま感知したから、俺はそのことに気づいている。