親友がくれた言葉
「メイーー!おまたせっ!」
私を呼ぶダイナミックな声に顔を向けるとともに、うめき声をあげた。
声もダイナミックで行動もダイナミックなエマは私を抱き枕だと勘違いしてると思うんだ。
私そんな肉付きはいい方じゃないと思うんだけど……。抱き心地は絶対本物の方がいい気がする。
「ちょ、エマっ、くるしいから離れて」
そう絞りながら巻き付く腕を軽くタップすると悪気もない笑みを浮かべた彼女と目が合う。
「ごめすごめす」
「いやごめすって思ってない顔してっし」
「さすがメイ様。お見通しですな!」
今度はガハハと笑う彼女にため息をこぼした。
「今度はなににハマったの」
「お!分かっちゃう!?そうなんだよ〜実は――」
熱弁するエマは本当に楽しそうで、こっちまで楽しくなる。
これが彼女の長所で、私はそんな彼女に助けられてばっかなんだ。私なんかと友達になってくれてるだけでもありがたいのに、なんだか申し訳なさも感じてしまう。
エマの周りにはよく男女問わず寄ってきてて、話が絶えない。
私に一番最初に話しかけて来てくれたのもエマだった。
彼女は人の長けてるとこを見抜く天才だと思う。
私はその言葉がどれだけ救われただろう。私にとっては魔法みたいで、まとわりついてた呪縛のような言葉や記憶が晴れていく気が、その言葉一つで無くなったんだ。
――『今度メイク教えてよ!』
転校初日、昼休み入って早々に私の目を見て言ってくれた、誠の言葉を。