オレンジ服のヒーローの一途な愛
Prologue
私——井川あおいは、昔からなにかと運が悪い。ついでにドジだ。
自分で言ってしまうのもどうかと思うけど、自覚があるのだからどうしようもない。
厄祓いにでも行ったほうがいいのかなあと思いつつ、なんだかんだ面倒で先延ばしにしたまま、今年22歳。
今ここから出られたら、神社へ直行してすぐにでもお祓いしてもらいたいくらいの気持ちでいる。
私が今いるのは四角い鉄かごの中。
天井は高いけど、定員が4人なのだから面積は狭い。
その隅でうずくまり、ひとり途方に暮れている。
「勘弁してよぉ」
ボソッと漏れた独り言がやたらと響くのすら恐ろしい。
私はこの建物の五階にあるマツエクサロンに、忘れ物のバレッタを取りに戻ってきただけなのに。
五階へのボタンを押し、エレベーターのドアが閉まった直後、落雷の音がして停電したのだ。
当然ながら中は真っ暗になってしまい、エレベーターは動かなくなった。
スマホの電灯アプリで照らして開閉ボタンを押したけどドアは開かないし、非常用ボタンを押しても応答はない。
その上電波もほとんどない状態だ。
つくづく運が悪い。
いや、今回はバレッタを忘れてきたというドジがそもそもの原因なのだから、一概に運だけのせいにはできないのだけど。
自分で言ってしまうのもどうかと思うけど、自覚があるのだからどうしようもない。
厄祓いにでも行ったほうがいいのかなあと思いつつ、なんだかんだ面倒で先延ばしにしたまま、今年22歳。
今ここから出られたら、神社へ直行してすぐにでもお祓いしてもらいたいくらいの気持ちでいる。
私が今いるのは四角い鉄かごの中。
天井は高いけど、定員が4人なのだから面積は狭い。
その隅でうずくまり、ひとり途方に暮れている。
「勘弁してよぉ」
ボソッと漏れた独り言がやたらと響くのすら恐ろしい。
私はこの建物の五階にあるマツエクサロンに、忘れ物のバレッタを取りに戻ってきただけなのに。
五階へのボタンを押し、エレベーターのドアが閉まった直後、落雷の音がして停電したのだ。
当然ながら中は真っ暗になってしまい、エレベーターは動かなくなった。
スマホの電灯アプリで照らして開閉ボタンを押したけどドアは開かないし、非常用ボタンを押しても応答はない。
その上電波もほとんどない状態だ。
つくづく運が悪い。
いや、今回はバレッタを忘れてきたというドジがそもそもの原因なのだから、一概に運だけのせいにはできないのだけど。
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