オレンジ服のヒーローの一途な愛
*
あおいが完全に眠ったであろう深夜1時。
大樹は愚痴るだけ愚痴って、少し気がおさまったようだ。
大量に買ったビールはまだなくならないが、大樹は明日少し出勤時間が遅いと言っていたし、酒に強いほうだから二日酔いにさほど苦しむことはないだろう。
あおいがドアの向こうにいると思うとそわそわするが、さっきの件について聞かずにはいられない。
少し大樹と距離を詰めて、声を潜めた。
「なあ、大樹。見合いって何の話だよ」
「そのまんまだよ。店長の甥っ子なんだってさ」
大樹はビールをあおり、それから缶をじっと見つめてため息を吐いた。
「……嫌だけど、翔太の言う通りちょっと妹離れしないとダメだよな。本当に嫌だけど、あおいはもう大人なんだし、お見合いに行ったって彼氏を作ったって、俺は口出せないもんな。めちゃくちゃ嫌だけど」
全く妹離れできそうな言動だ。
まあ、俺だって嫌なのは同じだ。
あおいに恋人ができたら、相手の男に嫉妬して狂ってしまうかもしれない。
だけどそれは、大樹があおいに対して抱く感情とは全く別のものだ。
俺にとってあおいは『妹』じゃなくひとりの『女』だから。
あおいが完全に眠ったであろう深夜1時。
大樹は愚痴るだけ愚痴って、少し気がおさまったようだ。
大量に買ったビールはまだなくならないが、大樹は明日少し出勤時間が遅いと言っていたし、酒に強いほうだから二日酔いにさほど苦しむことはないだろう。
あおいがドアの向こうにいると思うとそわそわするが、さっきの件について聞かずにはいられない。
少し大樹と距離を詰めて、声を潜めた。
「なあ、大樹。見合いって何の話だよ」
「そのまんまだよ。店長の甥っ子なんだってさ」
大樹はビールをあおり、それから缶をじっと見つめてため息を吐いた。
「……嫌だけど、翔太の言う通りちょっと妹離れしないとダメだよな。本当に嫌だけど、あおいはもう大人なんだし、お見合いに行ったって彼氏を作ったって、俺は口出せないもんな。めちゃくちゃ嫌だけど」
全く妹離れできそうな言動だ。
まあ、俺だって嫌なのは同じだ。
あおいに恋人ができたら、相手の男に嫉妬して狂ってしまうかもしれない。
だけどそれは、大樹があおいに対して抱く感情とは全く別のものだ。
俺にとってあおいは『妹』じゃなくひとりの『女』だから。