オレンジ服のヒーローの一途な愛
ただ、それを大樹に打ち明けたことはない。
最初は本当に妹のように思っていたし、自覚がないままいつの間にか変わっていった気持ちを、俺はなかなか認められずにいた。
そのまま大樹の前で口にすることなく、長い時間が経ってしまったのだ。
だけど、言わずにいるのももう限界だ。
気持ちのセーブなんか、とっくにきかない状態になっている。

今さらこんなことを言っていいんだろうか。
緊張して、ごくりと唾を飲んで大樹に問いかける。

「なあ、俺があおいのことを好きで、告白するって言ったらどうする?」

そうとう驚かれるか、もしくは冗談だと思って笑い飛ばされると予想していたが、大樹は少しきょとんとするだけだった。

「いや、むしろ変な男に捕まるくらいならお前のほうがいい。ていうかやっぱりお前、あおいが好きだったんだな」
「えっ?やっぱりってなんだよ」

意外な反応に突飛な声をあげてしまった。

「そうじゃないかと思ってたよ。彼女作っても長く続かないし、そもそも恋してるって感じじゃなかったし。あおいと話してる時が一番やさしい顔してる。でも、翔太なりに色々思うところがあって黙ってるんだろうなっていうのはなんとなくわかるからさ。俺は余計な口を出すべきじゃないよなって」

驚かされたのは俺のほうで、思わず閉口した。
まさか俺の気持ちに気づいていて、あえて何も言わずにいたとは思わなかった。
こいつはこんなに思慮深くて気遣いができるやつだったのか。
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