オレンジ服のヒーローの一途な愛
大樹は新しい缶を開けてまた飲み始め、ぷはーっと息を吐く。

「お前の仕事は常に命の危険と隣り合わせじゃん?」
「ああ」
「そういう面ではもちろん手放しで賛成できないわけ。親代わりとして」
「お前んち両親健在だろ」
「でもさ」
「無視かよ」
「あおいを幸せにするのは翔太以外想像つかないなーって今思った。あ、もちろんそこに俺も加わりたいわけだけど」
「お前が加わるととんでもなくややこしくなるからやめてくれ」
「告白してみればいいじゃん。気まずくなんかならねえよ。俺がそんな雰囲気ぶち壊してやる」
「フラれる前提だな」
「いや、うまくいったら万々歳だけど。でもお前にお義兄様とか呼ばれるのは嫌だな」
「絶対呼ばないから安心しろ」

大樹はくつくつと笑う。

「どっちにしたって、今のままじゃ前進できないだろ。お前は基本酒飲まないから、合コン行ったってつまらないだけだろうし」
「わかってるなら誘うなよ」
「だってサクラにちょうどいいんだもん。女の子すげー食いつくから」
「とんでもない親友だな」
「冗談だよ。ええと……そうそう、翔太があおいに気持ちを伝える気がないなら、他に出会いがあるようにって俺なりに配慮してたわけよ、うん」

だいぶ慌てているから、これはサクラ説のほうが正しいな。
さっきはこいつのことを見直していたが、それは撤回しよう。

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