オレンジ服のヒーローの一途な愛
――ピー
不意にスピーカーから指令音が鳴った。
【畑中区九日二丁目、建物火災入電中】
スマホと食べかけのおにぎりをデスクに置き、反射のように駆け出す。
階段を駆け下り、すぐさまハンガーにかけられた防火衣を着て安全靴を履き、救助車の後部座席へと乗り込んだ。
出動指令からここまで約1分だ。
すぐに救助車は発進し、サイレンの音が響き渡る。
運転する機関員はこの辺りの地図を把握しているから、九日二丁目なら5分ほどで着くだろう。
だけど、火災現場は一刻一秒を争う。
無線で入ってくる次の情報に耳を傾けた。
【九日商店街中ほどの三階建てのビル、火元は一階の喫茶店。現在先着隊が情報収集中】
グローブをつける手が止まった。
「喫茶店……?」
『今日は一階の喫茶店で店長と食べてきたの』
あおいの店の場所を正確に知っているわけではない。
だけど、あおいが勤める店は九日商店街にあり、建物の一階は老夫婦が営む喫茶店だと聞いている。
そして、店は三階にあるのだとも。
「避難階段ないんじゃないか?三階建てなら設置義務はないしな。上階に要救助者がいたらまずいぞ」
助手席から、小隊長の深刻な声が聞こえてくる。
じゃあ、あのメッセージの意味は……
血の気が引いた。
不意にスピーカーから指令音が鳴った。
【畑中区九日二丁目、建物火災入電中】
スマホと食べかけのおにぎりをデスクに置き、反射のように駆け出す。
階段を駆け下り、すぐさまハンガーにかけられた防火衣を着て安全靴を履き、救助車の後部座席へと乗り込んだ。
出動指令からここまで約1分だ。
すぐに救助車は発進し、サイレンの音が響き渡る。
運転する機関員はこの辺りの地図を把握しているから、九日二丁目なら5分ほどで着くだろう。
だけど、火災現場は一刻一秒を争う。
無線で入ってくる次の情報に耳を傾けた。
【九日商店街中ほどの三階建てのビル、火元は一階の喫茶店。現在先着隊が情報収集中】
グローブをつける手が止まった。
「喫茶店……?」
『今日は一階の喫茶店で店長と食べてきたの』
あおいの店の場所を正確に知っているわけではない。
だけど、あおいが勤める店は九日商店街にあり、建物の一階は老夫婦が営む喫茶店だと聞いている。
そして、店は三階にあるのだとも。
「避難階段ないんじゃないか?三階建てなら設置義務はないしな。上階に要救助者がいたらまずいぞ」
助手席から、小隊長の深刻な声が聞こえてくる。
じゃあ、あのメッセージの意味は……
血の気が引いた。