オレンジ服のヒーローの一途な愛
1
「心臓に悪いからやめてくれ」
「……ごめんなさい」
一夜明けた朝9時。
私はローテーブルの脇に縮こまって正座。
目の前の彼は胡座をかき、腕を組んでいる。
精悍な顔立ちと、鍛えられて引き締まった身体。髪型は清潔感のあるベリーショート。
彼ーー向坂翔太は100人中100人が好印象を持つであろう爽やかなイケメンだ。
だけど、今日に関しては私を見る目が据わっていて、だいぶ怒っているのが見てとれる。
朝8時半に勤務を終える彼が、この時間帯にマンションを訪ねてくるであろうことは予想していた。
そして、当然お叱りを受けるであろうことも。
だから覚悟はしていたんだけど……
「全く、なんでもっと早く助けを求めないんだよ」
「だって、命に関わる人たちがいっぱいいるのに安易に通報なんてーー」
「あおいも命に関わってたんだよ。この季節に空調のきかないエレベーターに長時間いたらどうなるかくらいわかるだろ」
「……ごめんなさい」
「しかも俺たちが帰ったあと、救急隊に搬送は絶対嫌だってごねたんだって?」
「ご、ごねたって……水分取ったし、体調もだいぶ良くなったからいいですって言っただけで」
慌てて弁解すると、翔ちゃんは腕を組んだまま大袈裟に肩を上下してため息を吐いた。
「自覚がないまま熱中症で亡くなる人だっているんだから、もっと危機感持ちなさい」
「……はい」
言い訳もできず、さらに縮こまった。
「……ごめんなさい」
一夜明けた朝9時。
私はローテーブルの脇に縮こまって正座。
目の前の彼は胡座をかき、腕を組んでいる。
精悍な顔立ちと、鍛えられて引き締まった身体。髪型は清潔感のあるベリーショート。
彼ーー向坂翔太は100人中100人が好印象を持つであろう爽やかなイケメンだ。
だけど、今日に関しては私を見る目が据わっていて、だいぶ怒っているのが見てとれる。
朝8時半に勤務を終える彼が、この時間帯にマンションを訪ねてくるであろうことは予想していた。
そして、当然お叱りを受けるであろうことも。
だから覚悟はしていたんだけど……
「全く、なんでもっと早く助けを求めないんだよ」
「だって、命に関わる人たちがいっぱいいるのに安易に通報なんてーー」
「あおいも命に関わってたんだよ。この季節に空調のきかないエレベーターに長時間いたらどうなるかくらいわかるだろ」
「……ごめんなさい」
「しかも俺たちが帰ったあと、救急隊に搬送は絶対嫌だってごねたんだって?」
「ご、ごねたって……水分取ったし、体調もだいぶ良くなったからいいですって言っただけで」
慌てて弁解すると、翔ちゃんは腕を組んだまま大袈裟に肩を上下してため息を吐いた。
「自覚がないまま熱中症で亡くなる人だっているんだから、もっと危機感持ちなさい」
「……はい」
言い訳もできず、さらに縮こまった。