オレンジ服のヒーローの一途な愛
――……
『ねえ、翔ちゃんは高校卒業したら大学に行くの?』
『一応そのつもりだけど、どの分野に行くかはまだ全然。大樹みたいに目標があるわけじゃないし』
『お兄ちゃんは工学部がある大学を目指してるんだっけ』
『そう、情報工学。システムエンジニアになりたいんだってさ』
『お兄ちゃん、パソコン好きだもんね。じゃあ、翔ちゃんは何が好き?』
『何が好きって……』
宙を見上げて考えていた様子の翔ちゃんが、こちらに目を向けてはにかんだ。
『決めた。あおいみたいなドジで運の悪い子を守れるような仕事をする』
『えっなにそれ!』
膨れる私を宥めるように、大きな手が頭に乗っかる。
『大樹のこと、シスコンなんて笑えないな、俺』
『え?なんて言ったの?』
『いや。……これ、もしかしてシスコンっていうよりロリコンの域に入るのか…?うわ、なんかへこんできた……』
『え?』
『なんでもない』
口元に手を当てて何やらぶつぶつと呟いていた翔ちゃんが、ゴホンとひとつ咳ばらいをした。
そして、頼もしく笑顔を咲かせる。
『大丈夫だよ、あおい。お前のドジや悪運なんて、俺が吹っ飛ばしてやる』
……そっか。厄祓いなんて必要ない。
私は翔ちゃんを信じていればいいんだ。
きっと翔ちゃんが、私を助けにきてくれる……
……ーー
「…い、あおい」
ぼんやりした視界に、マスクを装着している誰かの姿が映る。
「もうちょっと頑張れよ。絶対助けるからな」
マスクのせいでくぐもっているけど、それは確かに翔ちゃんの声だとわかった。
ほら。やっぱり翔ちゃんが来てくれた。
私を助けてくれるのは、いつだって……
口元が何に覆われて、呼吸が楽になっていく。
身体が浮いて揺られるのを感じながら、私の意識はまた遠のいていった。
『ねえ、翔ちゃんは高校卒業したら大学に行くの?』
『一応そのつもりだけど、どの分野に行くかはまだ全然。大樹みたいに目標があるわけじゃないし』
『お兄ちゃんは工学部がある大学を目指してるんだっけ』
『そう、情報工学。システムエンジニアになりたいんだってさ』
『お兄ちゃん、パソコン好きだもんね。じゃあ、翔ちゃんは何が好き?』
『何が好きって……』
宙を見上げて考えていた様子の翔ちゃんが、こちらに目を向けてはにかんだ。
『決めた。あおいみたいなドジで運の悪い子を守れるような仕事をする』
『えっなにそれ!』
膨れる私を宥めるように、大きな手が頭に乗っかる。
『大樹のこと、シスコンなんて笑えないな、俺』
『え?なんて言ったの?』
『いや。……これ、もしかしてシスコンっていうよりロリコンの域に入るのか…?うわ、なんかへこんできた……』
『え?』
『なんでもない』
口元に手を当てて何やらぶつぶつと呟いていた翔ちゃんが、ゴホンとひとつ咳ばらいをした。
そして、頼もしく笑顔を咲かせる。
『大丈夫だよ、あおい。お前のドジや悪運なんて、俺が吹っ飛ばしてやる』
……そっか。厄祓いなんて必要ない。
私は翔ちゃんを信じていればいいんだ。
きっと翔ちゃんが、私を助けにきてくれる……
……ーー
「…い、あおい」
ぼんやりした視界に、マスクを装着している誰かの姿が映る。
「もうちょっと頑張れよ。絶対助けるからな」
マスクのせいでくぐもっているけど、それは確かに翔ちゃんの声だとわかった。
ほら。やっぱり翔ちゃんが来てくれた。
私を助けてくれるのは、いつだって……
口元が何に覆われて、呼吸が楽になっていく。
身体が浮いて揺られるのを感じながら、私の意識はまた遠のいていった。