オレンジ服のヒーローの一途な愛
Epilogue
「いやあそういうわけでさ、彼女と一緒に住むことにしたから!」

退院して一ヶ月後ーー
兄は晴れやかに笑う。
あの時、私が火事に巻き込まれたことを知った兄は、会社で卒倒して頭を打ち救急搬送されたらしい。
それを知った元カノが病院に駆けつけ、『やっぱり私には大樹くんしかいないわ!』と元さやに戻ることになったのだ。
そこからとんとん拍子に話が進み、このたび結婚を前提に同棲することなったという。
つまりは私のおかげ?

「で、もっと広い部屋を借りて3人で暮らそうと思ったけど、あおいは嫌だっていうし」
「当然じゃない。私がいたら同棲にならないし、ラブラブカップルの邪魔なんてできないよ」
「でもさあ、この前危ない目に遭ったばっかりだから不安で……って、そうだ」

腕を組んで難しい顔をしていた兄が、閃いたように私の隣にいる翔ちゃんに顔を向ける。

「翔太、あおいと一緒にここに住めば?署も遠くないから通えるだろ」
「えっ!?」
「ああ、そうしようかな。寮も飽きてきたし」
「ちょっ……えっ?」

狼狽する私をよそに、話は進んでいく。

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