きっかけ【短編】
第一章 初恋の人
小さい頃一緒にいた男の子が遠く感じるなんて、そんなの珍しい話じゃない。
いつも彼は目立っていた。
「巧だ」
あたしの前の席の朝子が甘ったるい声を出した。
あたしは何となく外を見た。
昔とは変わったけど変わらない彼の姿がそこにある。
明るく染めた茶色の髪に、長身の男の人の姿がそこにあった。
あたしは机の上にある問題集に視線を戻した。
そんなことより次の授業の数学の宿題だ。
「小春は冷たいよね」
からかうようにあたしに言う朝子。
「別に」
あいつを意識なんて絶対にしない。あいつはあたしにとって背景と一緒だ。
「昔あんなに仲がよかったのにね」
いつも彼は目立っていた。
「巧だ」
あたしの前の席の朝子が甘ったるい声を出した。
あたしは何となく外を見た。
昔とは変わったけど変わらない彼の姿がそこにある。
明るく染めた茶色の髪に、長身の男の人の姿がそこにあった。
あたしは机の上にある問題集に視線を戻した。
そんなことより次の授業の数学の宿題だ。
「小春は冷たいよね」
からかうようにあたしに言う朝子。
「別に」
あいつを意識なんて絶対にしない。あいつはあたしにとって背景と一緒だ。
「昔あんなに仲がよかったのにね」