きっかけ【短編】
「昔は昔だから」


 あたしは問題集を見ると、
 それ以上何も言わなくなった。

 無視をしようと決めたのに、
 あたしの頭の中にはあいつの姿が蘇る。

 いつまでたっても
 忘れられない彼の姿、だ。

 そう考えるとやけに悔しい。


 小学生のときだった。

 あたしがあいつを
 好きだという噂が流れた。


 実際あたしは、あのときは
 あいつが好きだったのだから、
 あながち嘘じゃない。


 一生の不覚だけど
 告白までしていた。
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