きっかけ【短編】
 顔をあげるとそこに立っていたのは巧。

「お前、何をぺらぺらしゃべってんだよ」

「別に小春に話をしないとは一言も言ってないよ。
あたしのおかげでうまくいったんだから感謝してほしいくらい」


「お前さ」

 呆れたような顔をしている巧。

 でも、多分そうなのかもしれない。

 あたしは絶対巧に好きなんて言わなかった。

 巧は朝子に言われてやっと告白する気になったってことだから。

「あたしは感謝しているかな」

 その言葉に巧はあたしを見る。

 そんなきっかけがあったからあたしは。



「巧の彼女になれたから。じゃない?」
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