きっかけ【短編】
 しかし予定は予定でしかない。

 一緒に歩いていると、体がかちこちに固まってしまったみたいに何もいえない。

 隣にいるというだけで意識してしまうのに


 言おうとあいつの顔を見たら、もうだめだった。

 口が動かないような感じで何もいえない。


 そんなあたしを放置したみたいに巧は何もない日常を話していた。

 友達に話をするみたいに軽い感じで。


 なんか悔しい。

 意識をしているのは

 あたしだけじゃないかって思ったから。

 それは当たり前で



 彼はあたしのことなんて好きじゃなくて

 きっと彼にとっては告白してきた女の子のうちの一人でしかないんだって思えたから。
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