恋神様に願いを込めて
そんな…。どうしてそこまでして…。


…違う。全部、私のためだ。私が見たいって言ったから。


晃は昔からそうだ。いつだって私のためにどんなことでもしてくれる。



小学生の頃に私が窓ガラスを割った時、晃がわざわざもう一つ割って一緒に反省文を書き一週間掃除をした。


中学生の頃、一部のクラスの女子から嫌われて嫌がらせをされた時に主犯格の女子の机を蹴っ飛ばし「二度と美羽に手を出すな」と言って助けてくれた。


他にも数えきれないくらい晃は私にたくさん優しさをくれていた。


どうして晃の優しさをいつの間にか当たり前に感じるようになってしまったんだろう。



–––––「晃なんて大っ嫌い!」



どうして、あんなこと言っちゃったんだろう…。



「美羽ちゃん、帰ろっか」



レンくんが私の手を引いてレンタルビデオ屋から連れ出してくれた。


もし、レンくんが来てくれなかったらあのまま泣いていたかもしれない。



「…ごめんね、レンくん」


「…何が?」



レンくんは急に立ち止まった私に嫌な顔一つしないで優しく微笑んでくれた。


きっとレンくんはこれから私が言おうとしていることに気づいているのかもしれない。
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