恋神様に願いを込めて
どうしてもクラスメイトの話が気になってしまい、昼休みにお弁当もそこそこに旧校舎に行ってみることにした。


旧校舎は陽の光が当たらないせいか、暗くてじめじめとしていて不気味だった。



「…ん?あ、あった!」



ぐるりと回っていくとたしかに、旧校舎裏の端っこに小さな祠が置いてあった。


小さな扉が閉まっていて中は見えないけど、本当にここに神様が住んでいるのかな?



「運命の王子様と恋がしたい!」



両手を合わせて大きな声でそう願う。


…だが、十秒経っても、一分経っても特に何も起きなかった。



「なんだ、やっぱりただの噂か」



教室に戻ろうと踵を返すと、ふわっと風が頬を撫でた。



「その願い、叶えてあげる」



透き通った声が頭に響き、ばっと振り返るが誰もいなかった。


なんだったんだろう、今のは…。





「ねー美羽!お願い、今日の合コン女子一人いなくて困ってるの…!たしか恋したいって言ってたよね!?」
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