恋神様に願いを込めて
なんだろう、この気持ち…。


推しが他の人に取られそうで嫌っていうか、違うような何かみたいな…。



「ごめんね、俺今この子とデートで来てるから。紬ちゃん、行こっか」


「え…」



先輩は優しく私の手を引きお会計を済ませると、お店の外に出た。



「あの、よかったんですか…?」


「ん?ああ、あの子たちのこと?さっきも言った通り、俺は紬ちゃんとデートしてるの。他の女の子と写真撮ったりなんてしないよ。それとも紬ちゃんは撮って欲しかった?」



先輩の問いかけに首を横にぶんぶん振る。



「嫌です…」


「うん、俺も」



先輩はにこっと笑うと優しく頭を撫でてくれた。



「それにしても、俺ってロイ様に似てるの?」


「はい、かなり似てますよ。私も初めて会った時はロイ様かと思いましたもん」



だから密かに先輩のことも推してます、なんて言えないからそれは黙っておく。



「あの、今日は本当にありがとうございました。先輩いなかったらロイ様出てなかったかもしれないです」
< 32 / 95 >

この作品をシェア

pagetop