恋神様に願いを込めて
ツインテールの女の子がタッパを持って輪の中に入っていった。


その後を追うように何人かの女子もわらわらと入っていく。



私は踵を返してその場を去る。


あの中に入っていける勇気があったら、先輩の隣に堂々と並べる女の子になれたら、どんなにいいだろう。


…でも、私には無理だ。


私は先輩という太陽に光をもらっている雑草だから。隣に並んでいい存在じゃないんだ。





「あ、紬ちゃん。中休みに会うなんて初めてだね」



次の日、先輩となるべく会わないように時間をずらそうと思って二時間目の後に中庭に行ったのに、いつものベンチに先輩は寝転がっていた。



「…こんにちは」



先輩となるべく目を合わさないようにしながら花に水をあげていく。



「昨日はね、久しぶりに部活に顔出し行ったんだ。元副キャプテンのやつと。そしたらなぜか俺対副キャプで対決することになって、初めは一対一だったのがだんだん人増えて結局チーム戦になったんだよ。なんか久しぶりの感覚ですごい楽しかったなー」


「…そうなんですね」



知っている。途中からだったけど私だって見ていたから。



「…じゃあ私、行きますね」
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