恋神様に願いを込めて
誰もいなくなった放課後の教室で、はあとため息をつきながら机に突っ伏す。


そろそろ花壇に水をあげないと、枯れちゃうな…。


でも先輩とも会いたくない…。



うじうじ考えていても仕方がないため、とりあえず数日後に迫っているテスト勉強をしようとノートを広げる。


数学の問題を解いていると、教室の扉が開く音がした。



「あー桜庭さんじゃん」



話したことのないクラスメイトの男子二人組が入ってきて、曖昧に笑い返す。



「そうだ、そういえばさ一個上の相馬先輩と付き合ってるって噂、本当なのー?女子たち騒いでるよね!」


「おいやめろよー」



持っていたシャーペンに力がこもった。



「…付き合ってないです」


「あは、なんで敬語!えーなんだ。やっぱガセかーいやまあそうだよなー。相馬先輩ってどっかのアイドルにも似てんだっけ?なんだっけ、あの人爽やか王子様系のやつな。俺あの嘘っぽい笑顔が嫌いでさぁ。たしかに二人って似てっかもな!」


「…ロイ様と先輩は全然似てない」



気づいたら、そう口にしていた。


ヘラヘラ笑っていた男子生徒が「は?」と私を睨んできたが、負けじと睨み返す。
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