恋神様に願いを込めて
「あ、結芽花ちゃん!心配してたんだよ、どこ行ってたの?」



一時間目の終わるチャイムが鳴り、教室に戻ろうと廊下を歩いていると保健室から出てきた五十嵐と鉢合わせた。



「…別に、あんたに心配される筋合いなんてないんだけど。てかあんたこそ、こんなところで何やってんの?」


「え?あーちょっと体調が悪くて…」


「もう、大和ー。なんで先行っちゃうのぉ」



保健室から胸元を大きく開けた女子生徒が出てきて、そういうことかと理解する。



「…何が体調悪い、よ。この女たらし。どうぞあとは二人で楽しんでください」


「え?あ、誤解…」



五十嵐を突き飛ばして、教室に向かって走る。



…イライラする。


色々な女の子と遊んでいる五十嵐も、甘い声で五十嵐の名前を呼ぶ女子も、そんな五十嵐を好きなことをやめられない自分も、全部イライラする。





「…最悪」



放課後、図書室でテスト勉強をしてから靴箱に行くと、大雨が降っていることに気づく。


今朝は遅刻ギリギリでテレビなんて全く見ていなかったため、雨予報だったなんて知らなかった。
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