恋神様に願いを込めて
「…別に、私は何もしてない。それに、いつもいろんな女の子といるんだから、その子達を頼ればいいでしょ」



ハッとして五十嵐を振り向くと、五十嵐は傷ついたように笑っていた。


違う。こんなことを言いたいんじゃない。こんな顔をさせたいわけじゃないのに…。



逃げるように五十嵐のマンションを出て駅に走る。


もう嫌だ。素直になれない自分も、好きな人を傷つけることしかできない自分も。


こんなことなら、もう誰とも関わらなければいいんだ。





「あ、結芽花ちゃん。おはよー金曜はありがとね。俺、今日のテスト全然やってなくて…」



靴箱にいた五十嵐をふいっと無視して教室に向かう。



「結芽花ちゃんー?どうしたの?熱うつった?」


「話しかけないで!」



教室に着いてもついてくる五十嵐をきっと睨みつける。



「何ー?大和、大丈夫ー?」


「また落合さん?毎日大和くんに話しかけてもらってるくせにひっどいねー」


「でもそれもどうせ同情でしょ?あは、かわいそう」



自席に座り、うるさい教室の声をシャットダウンするために耳にイヤホンを突っ込む。
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