恋神様に願いを込めて
五十嵐がそれ以上話しかけてくることはなかった。





土日を挟んでニ日間連続で行われた期末テストは散々だった。


せっかく少し前から勉強をしていたのに、テスト中はずっと違うことばかり考えてしまって全然集中できなかったせいだ。



午前でテストが終わり、どこに行こうと盛り上がるクラスメイトの輪には入らず、真っ直ぐ靴箱に行く。


上履きからローファーに履き替えていると、後ろから来た女子二人組のうちの一人が「最悪ー!」と大声を上げた。



「落ち着きなよー」


「だって大和、最近ノリ悪いんだもん!今日もカラオケ行こって誘ったら即答で断られたし!」


「あーなんか大和くん、一週間前くらいから女の子との関係みんな絶ってるらしいよ。LINEも全く返してくれなくなったし、遊び誘ってもみんな断られてるって」


「はー!?なんで!?」


「わかんないけど、だからもう諦めた方がいいよ」



女子生徒がばんっと靴箱を勢いよく閉めた音でハッと我に返り、慌ててその場を去る。



五十嵐、どうして急に女の子と遊ばなくなったんだろう…。


…いや、あんなのただの噂かもしれない。だって私には普通にいつも通りちょっかいを出してくるし、やっぱりただの女好きだ。


この前の保健室の時だって、やっぱり本当はあの女の子と…。



って、もう五十嵐のことを考えるのはやめたんだから。この想いはもう、なくすって決めたんだから…。
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